Abstract Minimalist Lined Half Colored Circle Shape

職人 岡野 匠吾

Profile

1980年10月23日生まれ 東京都出身

今回、エングレーバーとして活躍するハワイアンジュエリープアアリの職人 岡野にインタビューを行い、ハワイアンジュエリープアアリでエングレーバーとして活躍するまでの道のりを聞く事ができました。


Abstract Minimalist Lined Half Colored Circle Shape

アクシデントに訪れた「人生のチャンス」。

僕は32歳の時に入社したのですが、プアアリで働き始めた頃は仕上げや刻印や石留め等を担当していました。


そこで毎日プアアリの商品を触っているうちに、どんどんプアアリスタイルの彫りに魅了されていって、終業後にすこしづつ彫りの練 習をするようになりました。

当時は今よりも職人が少なく、原型制作、組み立て、彫り、仕上げの各工程に職人ひとりづつで回していたのでなかなか他の工程の仕事を任されることも無かったのですが、いつかチャンスが回ってくるんじゃないかと、その日に仕上げた商品を見様見真似で彫ったりしていました。


そんな日々を過ごしていた入社4年目のある日、突然降ってきました、チャンスが! アクシデントなので喜ばしい形ではなかったのですが、マスターエングレーバーが腕を負傷してしまい数ヶ月彫れなくなってしまった んです。


その日から今日まで、メインエングレーバーとしてプアアリの全てのブライダル商品の彫りを任せていただいています。


きっかけは「祖母の愛用のジュエリー」。

一番初めは高校生の時に、祖母が普段から身につけている指輪やバングルがきっかけでジュエリーに興味を持ちました。

祖母の装身具の好みがハイブランドのものや宝石ギラギラみたいなものがなく15歳の子供から見ても「なんか変わってて面白いな」 と思えるものが多かったんです。で、よくよく話を聞いてたらほとんどお友達の作家さんが作ったものだということが分かりました。 で、いきさつは覚えていないのですが、とりあえずすぐ電話してもらって会いに行きました、その作家さんのアトリエに。 祖母のお友達なのでその方もおばあちゃんでした。


色々と制作について話を聞かせてもらったところ、なんだか作れそうだと思っちゃって、その場で「彫金を教えて欲しい」と頼んだん です。


そうしたら「うちでは無理だけど、」という事で知り合いの教室を紹介してもらいました。 そんな流れで、気づいたら新宿の雑居ビルの1室で、おじいさんがこじんまりと営んでいる七宝教室で年配の生徒さんに囲まれて16歳 から彫金を習い始めた、というのがきっかけです。

高校卒業後はジュエリーの専門学校に通ったり留学したりしたのですが、日本でも海外でもジュエリー制作って興味を惹く話題なので 一つのコミュニケーションツールとしてジュエリーを介して人と繋がる事が増えていきました。


そういった中でメモリアルジュエリーのオーダーやOEMの発注をもらったりする事が制作の糧になっていったと思います。

そうやって納品してきたものは、お渡しした時はもちろん喜んでもらえるんですけど、その後5年や10年経っても普通にお気に入りと して毎日着けてもらえていたりするのを目の当たりにすると、ジュエリーの普遍性や生活への溶け込み方を実感するのでそこに一番やりがいを感じられます。


このリングは、もしかしたら誰かのメンタルを支えるお守りのように扱われるかもしれない、着けてないと落ち着かないくらいの存在 になるかもしれない、想いを伝える贈り物になるかもしれない。


だから丁寧に、手を抜かないように仕立てていこうと思って技術を磨けています。

『なぜハワイアンジュエリーのエングレーバーになろうと思ったのか?』

実を言うと初めからハワイアンジュエリーのエングレーバーになろうと思ってプアアリで働き始めた訳ではないんですが、 プアアリの立体的な彫りはそれまで自分のイメージにあったハワイアンジュエリーとは違って見えたんです。



せっかくプアアリの制作をしているんだからこれは自分が担いたい、と単純に思いました。で、本腰入れて彫り始めたらうまくいかない段階も含めて楽しくて楽しくて!天職かと思いました。


今、プアアリがブランドテーマとして掲げている「City Surf」という言葉があります。


これは、プアアリのハワイアンジュエリーはバカンスで過ごすハワイや海のイメージだけでなく、普段の都会での忙しい日常の中でも 馴染むデザインで、自然を愛する気持ちや大切な想いを心に留める為のジュエリー作りをする、というブランドの新たな指針になっています。


そこで、プアアリが築いた素晴らしい特徴に自分なりの+αをして前進させたかった私は、イタリアンスタイルの洋彫り技法や、西洋 書道であるカリグラフィーを学びに行き、そうした別ジャンルの技術や考え方を取り入れたり、和物のインスピレーションとして彫り の入っていない部分のシルエットに意識を向けたデザインをしたりしながら試作を作って企画会議にかけています。


そういう取り組みを続けている事で、従来のハワイアンでは使われていないタガネ(模様を彫る為の刃)を取り入れたりして新しいス タイルの商品が完成しています。



そういう掛け合わせから成るデザインは、プアアリが海好きやハワイ好きの方以外の幅広い層のお客様にも選んでいただけている理由、新たな魅力になっていると思っています。